角マ丸「掛かれエンジン!~セルモーター編~」

12月1日、我らが石田帆友会の会長「角マ丸」さんから「こんにちは時間がありましたらお電話ください」とショートメールが来ました!(※私の仕事が不規則なので、このようにお気遣いいただいております^^)
毎回そうなのですが冬場(OFFシーズン)に連絡を頂くと、真っ先に頭を過るのは決まって「まさか…日本海の重い突風で私の艇が船台から転がり落ちたんじゃないよな?(汗)」とドキドキします^^;実際、突風で船台から転がり落ちた艇もありますし、台風等のときは太平洋側でも良く聞きます。上架艇だからといって安心ではないですよね。

で…ドキドキしながら電話させて頂きましたところ、角マ丸さんの艇のエンジンが掛からなくなったとの事。ちょっと寂しそうな角マ丸さんをよそに、艇転がりではないと解ってホッっとする悪友オプ(笑)落ち着いて症状を確認しました所、セルモーターについている「ソレノイド部分(マグネチックスイッチ)」の不具合では?と推測しました。

マグネチックスイッチの部分だけ交換することも可能なのですが、エンジンの経年状況も踏まえて、セルモーターも含めて付け替えることをお勧めさせて頂きました。部品調達をして近日、交換取付に行く予定です^^!

▼セルモーター覚え書きです
セルモーターは自動車のものも基本的にエンジンを回すための歯車ギアを押し出す回路と、エンジンを回すためのモーター回路で構成されています。理由は、常にエンジンに直結させてしまうと、エンジンの回転によりセルモーターが回されてしまう為すぐに焼ききれてしまうからです。なので、始動時のみギアが出るように作られています。

▼エンジン始動時のセルモーターの動き
1)エンジンスタートスイッチONで、セルのギアがマグネチックスイッチシフトレバーによって押し出されエンジンに繋がる
2)結合と同時にモーターが回ってエンジンをクランクする
3)エンジンが始動し、スタートスイッチを戻すとセルのギアが引っ込む

こうなっています(かなり雑な解説ですが^^;)

▼症状(音)と問題箇所の判別
A・上記1の時に、カチン!と言うだけで始動しない時は、概ねバッテリーエラーです^^!
B・上記2の時に、セルモーターが静かに「むぅ~ん…カラコロカラコロ」等と回っている時はソレノイドの不調で歯車ギアが突き出されず、モーターだけが空転している…そんな状況を疑います。この時、たまにギアが出てエンジンが掛かる事もあるのですが、歯車が引っ込まない可能性もあるために上記3の動作が成立せず、セルモーターが焼けてしまう危険もあります^^;(昔、車でそれを体験しました)。ですので、「むぅ~ん…カラコロカラコロ」が聴こえて来たら、そのまま深追いせず、セルをエンジンから外して分解整備した方が良いです。単純にゴミなどの影響や接点不良でのトラブルなら良いですが、10~15年以上のエンジンの場合、思い切って単体交換する方が後々安心ですね^^

▼船舶用のセルモーター回線図(資料:日本財団図書館「2級舶用機関整備士指導書」より)

たかだかエンジンを初動させるだけのモーターなのに、複雑な仕組みになっているんですね~!本当はクラシックカーのようにクランク棒で手回しで掛ける方が故障は少なくなりそうです…便利さの影には、見えない部品たちが頑張っているんですね(笑)来週には時間が作れるかな?角マ丸さん!待ってて下さいね~!!

12月5日 部品到着~!初期不良チェックを兼ねてテストしました

ヨット角マ丸に取り付ける新品のセルモーターが本日オプの手元に届きました。近日、黒部まで持っていって取り付けてきますが、発注ミスや受注配送ミスはたまた初期不良があったりしたら大変な事になります。ですのでバッテリーにつないで数十回チェックしてみました。セルモーターは、重たいエンジンクランクを回すものなので、かなりパワーを感じる部品です(笑)プラモデルのモーターや扇風機のモーターよりもずっとパワフル!!しかもマグネチックスイッチの動作でギアがズバッと前に出て来て回るので単体で動かすと迫力があります。海で拾ったネコのまりんも、強烈に驚いていました(笑)

さて!あとは現地で交換取り付け作業です。雨雪でも大丈夫ですが、海上係留中ですので大荒れになると揺れますよね^^;ボルトネジ落とさないように気をつけなきゃ…。角マ丸さ~ん!もうしばらく待ってて下さいね^^!

ヤンマーエンジンには常々恩恵を受けているので壊れても直す楽しみもありますね^^!原因が解った瞬間や、直せた時の喜びも含めての「恩恵」なのかも知れません。メーカーや正規代理店の修理だとお金が続かないと言う切実な問題もありますが・・・。エンジン好きの私にとって、エンジニアさんのロゴ入り繋ぎは憧れです。いつか手に入れたいなぁ~(笑)でもYANMARのロゴは恐れ多くて使えませんので、こんなアイディアを…

▼SANMARロゴ(笑)

▼HANMARロゴ…まずは叩いて様子見る!

さて!あとは現地で交換取り付け作業です。雨雪でも大丈夫ですが、海上係留中ですので大荒れになると揺れますよね^^;ボルトネジ落とさないように気をつけなきゃ…。角マ丸さ~ん!もうしばらく待ってて下さいね^^!

12月7日「無事取り付け!修理完了」

ハーバー周辺でも天気予報で雪マークが出てきました。長野の極寒地域に住んでいる私オプにとっては黒部の海辺は雪が降っても温暖に感じるのですが(身にまとっている脂肪が多いと言うのもありますが…トドかっ!)それより何より、海が荒れてきますとハーバー内でも水上係留艇はグラングランと揺れますので、その中でエンジン部品をバラして組み立てるのはなかなか厳しいだろうなぁ~と思い、少しでも穏やかそうなタイミングを見計らって、私の仕事の状況も調整しつつ「今日行こう!」と、お昼から向かいました。昼間だと急いでも3.5時間かかるので日が出ている間に修理が終わるかなぁ?ギリギリかも?と、少し焦りつつ…。

午後15:30、ハーバーに着きましたら既に「角マ丸さん」「レプトンさん」「トミーさん」が勢ぞろいで修理がすぐに出来るようにありとあらゆる準備をしておいてくれました^^!レプトン隊長 (今回は現場監督!?) が
暗くなったら作業しずらいでしょ?」とご配慮頂き、電気(現場で使う仮設ワークライト)とバッテリーとインバーターまで仕込んでくれました。いやぁ…さすがです。

すぐに新品セルモーターと工具を持って角マ丸へ乗り込み、古いセルを取り外し、新たな物と交換します。でも…
「あれれ??何だかおかしいなぁ」と悪い予感が><!!

私オプ!係留艇内でまさかの船酔いです(笑)
シーズン初めは酔う事もあるのですが、シーズンENDに酔うなんて意外でした^^;徹夜もしてたり数時間走ってきたばっかりだったからかな?ひとまず根性で取り付けまでやりきります。おおよそ1時間程度で取り付け完了!始動チェックを確認して、大急ぎでハーバーのWCへ飛び込みゲロゲロ~です(笑)そのお陰ですぐに回復!再び角マ丸に戻って10数回以上「
始動・停止」を繰り返してみました!始動エラーもなく取り付け完了です。
その後、今度はエンジン停止レバーの寸足らずになっていたワイヤーも延長結線して繋ぎました。トミーさんも技術畑の方ですので皆さん仕事が速い!(笑)よってたかって全修理を無事に達成しました。

で…カメラも持っていったのですが、それどころではなく (船酔いもあって?) 一枚も撮影しませんでした(笑)
そのまま勢いで帰ろうかな?とも考えていましたが、寝不足の疲れもありましたし、このメンバーで合流して、しかもエンジンが回復して「宴会ナシ」では石田帆友会の名が廃ります!(いや…そんな事はないですが)直ったご褒美に宴会スタート^^!今回も楽しいメンテナンスになりました。