航行艇:レプトン21 2021年9月27日~29日のシングルハンド(単独)による航行ログです。
能登半島の宇出津港と穴水港へ行ってきた、富山湾内でまだ入っていない港だ。9/13~15に予定していたのが海象が悪く、日和待ちしていた。
<行動あらまし>
9/27(月)石田フィッシャリーナ→30nm宇出津港泊
9/28(火)宇出津港→大口瀬戸→18nm穴水港泊
9/29(水)穴水港→ツインブリッジのと→能登島大橋→小口瀬戸→40nm石田フィッシャリーナ
2021年9月27日(月)
石田フィッシャリーナ→30nm宇出津港泊
6時に起きる、向かいの家に日が当たりスッキリ光っている、見上げると空はもう十分青い。
7:40 石田着、クレーン予約は一番の9時だったが、どさくさに漁船を上げてからとなり出鼻をくじかれる。
9:30 出港。海は静か、風も静か、何とかして風だけ吹いてほしいのだが、ウーーン今日はこれか。
▲ 晴れた青空、コンパスコース340°に針路をとる。
生地灯台の右に赤色の 大きな m の工作物 有り。蜃気楼で見るアート作品。アーチストが最近作った。
魚津から蜃気楼を見ると ∞ になって見える。
10:35 船先は宇出津港だ、陸は平たく低い、左舷の女良漁港の石動山はしっかり立っている。宇出津港の何と心細いことよ、水平線には積乱雲が並んでいる、海はおとなしくゆっくり船を揺らす。
▲ 石動山はメインシートあたり 10:40
2:30 宇出津港までの中間点、14.6nm。宇出津のテニス場屋根、小木の魚市場が白い粒で分かる。後はYKKの工場だろう、白い四角いものが見えている。北北東3m 波0.2m 機帆走4.5kt。
▲ 宇出津港方面、これで半分来たか。 12:30
14:00 宇出津港まで9nm、オレンジ色の俵型浮きの横を過ぎる、いよいよ能登漁師の縄張りに入った。初めて停泊する港なので次第に心配になり落着かない、脱いでいた靴を履く。北東5m 5.2kt
▲ メインシートの右が七尾湾大口瀬戸、その右に円山 (67m) がかすかに見えている。 14:09
15:00 宇出津の定置網まで2nm、早めにエンジンを回し入港に備える。宇出津港前海には大きな定置網が有り、入るには南から37°16.120´ 137°10.031´を通り港口へ向かえば良い。
双眼鏡には港にクレーンのブームが立っている、停泊予定の宇出津新港にはすでに大きなものが岸壁を占領しているようだ、しかし小さなレプトン位なら何とかなるだろう。
▲ 宇出津港に向いている。右端の白いのは真脇、姫地区だろう。 15:11
16:30 宇出津新港着岸。気がかりなクレーン船は最沖寄り地で捨石を満載、その後ろの岸壁には余裕が有った。離れた最後のビットに舫いを取る、水深計2.4mでまずまず。岸壁は汚いが贅沢は言えません。
本舫いをしてから広場の向こうに有る「ALPショッピングセンター」へ夕食を買いに行く。ちらし寿司、ハチメの刺身、ビール、明日の昼食カツ丼を仕入れて船へ戻る。暗くなったが近くの公園の洗面トイレ具合を見に行く。
到着が遅かったので、じきにいい時間になった。あーー、何とか宇出津港へ入れてよかった、また安堵する。蚊取り線香を焚いて街と海を見てビールを飲んで今日をふり返り明日の海路を思う。
▲ これより奥にビットは無い、土砂用岸壁なので足元に泥砂が溜まっている、ちょっとイヤ。
▲ 広場の向こうにALPショッピングセンターとドラッグアオキ、その後にホームセンターも有ります。
▲ クレーン船が沖側端にいて岸壁に余裕があってよかった。 17:14
2021年9月28日(火)
宇出津港→18nm穴水港泊
6:00 出港、昨夜は寒くて何度か目が覚めた、完全に秋が来たのを思い知る。
曇り 北1m 波0.3m 港口を出て大定置網の外を目ざす、海保のweb網図と船ナビと浮き球に注意する。風が無いのに小波とうねりが来る。
6:50 網の外へ出た、右手の七尾湾大口瀬戸へ向ける、背中が急に熱くなった太陽が下層の雲の上に出たようだ。
▲ 出港であれこれしていて、ふと目をやると見とれる朝焼けになっていた。 5:37
▲ 定置網の外へ出た、白い点は能都町のテニス場で、その右の細かな白点が宇出津港。
▲ 大口瀬戸に向かう、まだ遠いが大口を感じる。 6:58
7:50 鵜川沖2nm、機帆走3kt、風弱いメインセールのみ、大口がはっきりと大きい。口の奥は薄い色になった能登島だ。コンパス250°
9:10 大口瀬戸進入点に来た、右へ少し舵を切るコンパス265°。
大口瀬戸の外側は網の密度が高い、網にぶつからないルートの進入点は東から 37°11.418´ 137°05.124´ を通り 37°10.386´ 137°00.716´の大口の中央へ抜ければ乗上げしないで通れます。(よりどころは海保の「海の安全情報」)
▲ 大口の奥、色の薄い陸は能登島
▲ 大口瀬戸の北側の目印、円山(標高67m)メインシートの右の小山 9:32
9:50 大口最狭部通過、風なし 波なし 日差しなし、能登島水族館とその沖の島々が近づく。その右奥に閃光が二つ、明日くぐる「ツインブリッジのと」を橋脚のてっぺんのフラッシュライトが知らせている。
▲ 能登島水族館と沖の島々が見えてきた(小丸な雲の下) 10:21
▲ 能登島水族館の向かい側の景色、正面奥が穴水港方面 10:21
▲ 七尾湾内から振り返って大口瀬戸を見る
▲ 椿崎マリーナはスタンションの上、クレーンが小さく見える、入り江奥なのでここからなら見えた。
12:20 穴水港着岸。 入江を静かに進み正面の岸壁に当たる、少し離して着岸場所を探す。右回りで奥へ、モータボートが川の上流まで並んでどこも空いていない、それではと右手対岸の宝山マリーナ辺へ向かう。
ここは小又川の河口で浅いのを予想して水深計を見ながら右に転舵、中間まで行かないうちに1.8m 1.5m あああっという前に1.1m、柔らかく船が止まった、心配しながら後進に切換えエンジンをふかす、動かない、更に吹かす、んん、動きだした。少し戻って再度横断する、またひっかかる、また後進。大きく戻ってようやく宝山マリーナ側へ行けた、水深4~3m、海底は駆け上がり状のようだ。
マリーナは商用なので右隣りの直角に折れた岸壁を偵察、ここには大きなイカ釣り船がいて前後にわずかな場所が空いている、(Gマップと同じ)慎重に沖側へ着けた。水深計は2.6m イカ漁船の名は第八昌喜丸。
▲ 入り江の奥の穴水港は正面からでないと見えない、サイドステーカバーの上が穴水港
▲ 深くて波陰でいい場所、船首の舫いは岸壁梯子から取った。
▲ 動いてなさそうなイカ漁船、大きくしっかりしてます、人が揃えば出港出来そうでした。
18:20 夕食が終わってコックピットに座っている、暗くなってきた穴水港の11個並んだナトリュウム灯が元気をあおっている。12:20に着いたが早く着くのはなかなか良い、風呂へ行って、ゆっくりスーパーへ行けて、五時から夕食で、港を眺めてまったくのんびり食べて飲んだ。
今は何も思わずただただ景色を眺めているだけの時間、日常には無い時が過ぎている、向こうでジーっと前を見てるシラサギさんもこんなんかなー。いやいや、シラサギはエサを探すのに頭がいっぱいだ、大変失礼いたしました。
▲ 穴水港を見下ろす「湯ったり館」急坂道は自転車を押した、帰りはブレーキだけで楽うー。
▲ レプトンカラー(ライムグリーン)が3点揃う、対岸に小さくレプトンと宝山マリーナのヨット
▲ 11個のナトリュウム灯が静かに盛り上がっている穴水港。
2021年9月29日(水)
穴水港→40nm石田フィッシャリーナ帰着
6:00 出港、4時過ぎから漁船か釣舟かが出ていく、どれも漁船のエンジン音ではなかった。
風なし、しかしさざ波が一面広く来ている、入江の口まで戻ったら正面に剣岳と池ノ平山がギザギザ山になって目を見張る、北アルプスらしい。背景がぼんやり赤く明るい雲で薄い影の山並みを浮き出している。左の方は昨日通ってきた大口瀬戸が、うん、しっかり陸が切れて海になっている。
7:40 「ツインブリッジのと」を見上げて三ケ口瀬戸を抜けその先の岩礁帯を通過。三ケ口瀬戸までは右手の陸に沿って南下、後半は青島を見つけてそこへ進む、三ケ口瀬戸は何故かゴミが多くそれはゆたり不快に浮かんでいる、ペラに当たらぬように身を乗り出して見張る。
▲ 穴水港から入江の口へ戻っている、靄で遠くがぼやけてわからない、船ナビで確認する。
▲ 「ツインブリッジのと」に近づく、青島はトジャーの左だが背後の陸と同化している。
▲ 海峡にゆるい流れが有った、ごみの動きでそう思う。 7:30
▲ 橋を過ぎると左舷有る岩礁帯、思わす水深計を覗く。孤立障害灯標が南端に小さく立っている。
8:30 能登島大橋通過。ここまでは和倉温泉群を右舷に見て能登島大橋に進んできたが和倉温泉の沖に養殖いけすが沢山浮かんでいた。牡蠣の養殖場とははっきり違う。温泉客用の魚かな?
弱い風が正面から来る、メインセールを上げ機帆走4.5kt、沖待ちしていた本船が右舷から向かってくる、ちょうどペラに絡んだホンダワラを取るのに良い、ペラを止めて作業する、本船は沖を回り込んで七尾火力発電所へ入って行った、石炭船だろう。
▲ 右の和倉温泉から左の能登島大橋へ、この先に養殖いけすが沢山有る。
9:45 小口瀬戸の航路灯標最外を過ぎ富山湾へ出た、定置網を越えるまで注意して針路を石田へ向ける。風は4mは吹いてるが、いかんとも帰る先、南東から吹いてくる、スタボクローズホールド120°、あと20°登りたいがダメだ、今は朝日町に向いているが、SCW風予報の北東に変わる事を期待して進む。
10:40 振り向くと昨日通った大口瀬戸の円山が名前の通り丸い山、その右上が開墾地で大きく地肌が出ている。右舷側は大泊鼻から二上山が霞んで見える、今回は反時計回りで富山湾の海岸線を眺められて良かった。
▲ 大口瀬戸方面。ラダーの右パイプの上に円山が、すぐ右に開墾地の地肌色山が有る。
▲ 南東の風で石田へ向えず新潟県寄りにクローズドホールドで進む、機帆走4.3kt。
11:00 昼食、スーパーの天丼焼きそばセット、サラダ、チーズ、ビールを休みながら食べる。いつの間にか日が当たり青空が勝ってきた。
11:40 風が東寄りになりポートタックでコンパスコース170°、左舷の船外機が空転しないように注意する。クローズホールドの微妙な加減がおもしろい、漢字で書くと 苦労図保留度 かな。
12:40 帰る先の建物が、魚津市桃山テニス場、YKK工場、黒部市体育館がはっきりしてきた。風が東寄りに動き東北東に、帰る先へ船を向けれる。ポートタック クローズリーチ 帆走4.7kt。
勝手の知った海へ帰ってきた、心に重さはない、行き先を何度も確かめる事もない、楽な気分で進んでいる、昨日までとはずいぶん違う。
ブォーーーと風音、ザブンザーと波を飛ばす音、チャプチャプと船尾で水の流れていく音、日がチョット暑く心地よい、ゆっくり波頭が巻き所々で白い、
はあー ヨットに乗れてよかった。
人は未知に夢見て、調べて、解って、やってみて、出来た時の達成感は何とも言えない、充実感が湧いてきてすばらしい、またやろう。
▲ 風が東寄り変わり針路にピッタリ、今回初めて帆走できる、 へへへっ。13:19 4.7kt
15:20 石田フィッシャリーナ帰着