2019-11月9日~10日「九十九湾行記録」(筆者:レプトン)

2019年(令和元年)11月9日(土)~11月10日(日)  
北風がよそ見してる間に能登半島九十九湾へ行ってきました。
週間天気予報に半分晴れマークが三日間並んでいた「今度こそシーズン最後のヨットチャンスかな?」と思い風と波の具合を調べた。オプさんお奨めで定番になったGPV気象予報を見れば「うん 大丈夫」初心者向きでいい。九十九湾(28nm)へ行くことに決め、同じ思いのオプさんに連絡するも予定が合わず、一人で行くこととなる。

11/9(土)石田フィッシャリーナ出港 06:25 → 九十九湾着 12:10
5時に家を出る、すこぶる寒い、MA-1ジャンパーのファスナーを顎まで上げる。海岸道路で石田へ向かう、暗い街に魚津漁港市場周辺だけが明々として盛んに動いている、車の中まで市場の熱気が来る。
石田フィッシャリーナに着くと船のエンジン音が響き、薄暗い港から航海灯が目を引く釣り船が次々と出て行く。大きな釣舟K丸のライトがひと際明るくお客さんも乗込み辺りはあわただしさが満ちている。食料と装備を積みあれこれとしていたら、帆友会の角マ丸さんが後進のまま中之島桟橋の向こうをパンパンと排気音を鳴らし出漁してゆく、お互い余裕がなく声も掛けれないでスーと離れて行った。

▲ 6:50 日の出、後立山連峰の白馬岳から日が昇る。

6:25 出港、予報より波が高く緊張する、にもかかわらずモーターボート群は果敢に釣り場へと飛ばすので恐れ入る。弱い南風なので又港へ戻る向きでメインセールを上げコンパス コース350˚ の九十九湾に向ける。セールに風が入らず機走で4Kt、セールはヨットの目印役です。 針路に点在する釣舟は行ったり来たりで衝突の見張りに力が入る。朝日が当たるとホッと和んだ、顔と手に日が当たり暖かい、すごい超強力赤外線ヒーター太陽です。

8:55 ピンク色の目立つ本船が横切る。 
日が昇るにつれ空は青さを増し快晴を思い知る。右舷の水平線に甘食の形の山が見える、新潟県の米山だろう、その右に水平線を少しおいて鳥ノ首岬が有ってぐるりと 270˚ 正面の能登半島の山まで水平線に山が立っている。風は北西3mに変わりポートクローズリーチ、波とうねりは小さくなり船は静かになってきた。が風が定まらずセールのシバーが気持ちを乱す。

10:27 能登小木の街が見えてきた

10:28 左舷正横に本船の正面を拝む、ここになるまで気をもんだ。 
気が付けば本船が左舷に見えていた、七尾湾から出てきたのだろう、何だか衝突コースになった感じで恐ろしい。見え角度に神経を使い見張りを厳とする。同時に本船の船長の気持ちにもなってみる。 幸いそのまま進んで行って先に横切れた時は、はあーーと楽になって良い気分だった。船首から白波を上げて来たこの船は10分後に真後ろを通って行った。けっこう近かった。本船問題が終わって前に集中する。
風は弱く不定、波0.2m 艶のある海。正面に小木の街がはっきり見えてきた、船ナビで見ると6nmと解る。
ここで着岸のやり方をいろいろ考えて腹が痛くなってくる。九十九湾には着岸施設は無い、底が当たらず槍着けできる場所もほんの少し、無いと言っていい。現地へ行ってよく見てそこでまた考えよう。

11:30 九十九湾まで2nm、小木の街の右横に湾口が有る。 
弱い風は正面から来る、ついでにセールを下した。湾口の沖にヨットが1艇出ている、セールを上げないで動き回っている、魚釣りかな?。観光遊覧船もあちこち動いてジワジワ緊張が高まる。

12:30 何とか到着出来てホッと一息つく。 
湾口の網と暗礁を避け漁船も避けて中へと進む。予定地が見えてきた、海面はまったく平らで風も無い。これ以上ない好条件で気が楽になる、偵察で場所を調べ見るとK氏のヨットのキャビン扉が開いているではないか、大声で呼ぶがダメ、ならばと携帯に変え連絡を取る。船からお互いを見ながらあれこれと・・。結局K氏のヨットの横に何とか納まりました。

17:00 「縄文真脇(まわき)温泉の宿」 の風呂に入る,露天風呂から真脇姫漁港が見える。

晩ご飯、能登の海山食材がいっぱいの鍋、そして刺身、うーーん幸せ。
K氏と近況を話しをしてから4時に風呂へ行くことを決め自分はレプトンで昼食&昼寝。着岸して気が楽になったのでよく寝れた。風呂へ行く時、晩飯は一緒に船で鍋を食べることとなる。風呂は近くにの 「ホテルのときんぷら」 と思っていたら は今日はダメの日らしく、買い出ししてから縄文真脇温泉へ行くことになった。初めて入った温泉はとても良い所だった、露天風呂から真脇姫漁港が見下ろせこれが能登なのかと思う。鍋食材も地物が多くてうれしい。スーパーの向かいの魚屋でキジハタとサザエの刺身、うまそうー。鍋はちゃんこだし汁でゆっくりじっくり食べた、ひとりでに鍋がなくなって行く。柔らかな張りのあるキジハタ、小さく切って歯ごたえを調整したサザエの刺身は良い調和で旨かった。

11/10(日) 九十九湾出港 07:20 → 石田フィッシャリーナ着岸 13:00
昨晩見たGPV気象予報の波風は今日も穏やかだったので出発を6時から7時に遅くした。起きてからテニスコート横のトイレへ、戻るとK氏は船上で動いている、これから魚釣りに出るので繋ぎの舫いを浮きの舫いに変えることとなる。船首の舫いは陸からなのでそのままだ。静かな九十九を見てゆっくりしてたら出発が遅れてしまった、でも大丈夫。

7:30 写真中央の棒の右が九十九湾口

7:35 釣りの途中だったK氏が見送りに伴走してくれました。
良い天気は今日も続きそうだ。入り江の中を見物してから湾口へ向かう、漁船が向かってくるので減速してやり過ごす、前方は陸が出っ張って暗礁も有りそうだったから右側で控えました。湾口から帰るべきアルプスは雲で見えない、北2m、波0.3m、コンパスコース 170˚ に向かう。釣りをしていたK氏の見送りを受ける、どっしりした落ち着いたヨットだ、長距離でも疲れが少なそうだ。振り返ると朝日のあたる小木は明るく、くっきり見える、さらば能登、来年もまたよろしくたのみます。

10:40 入善町の防風林とYKK越湖工場の屋根が水平線から見えてきた
出港して1時間程して小木を振り返る、離れたなー、でもまだ街が分かる、それに比べ帰る先は雲しか見えない、上空は青空なのだが。
北3m、波0.6m、うねりが後ろからきてヨーイングが不快だ。風も振られてセールがジャイブしてうるさい。頼りの風はこれから5時間定まらず、西に、南に、東に、力なく回り続けた。ジブも出したり巻いたり。こんな風は記憶に無い。12時頃石田フィッシャリーナが見えてから南西3mが吹いて入港までセールをひらつかせながらもヨットの形で走れた。

13:00 石田フィッシャリーナ着岸。
いい天気に恵まれ行ってこれて良かった。行けなかったら悔みが残り続けて気持ちがしばらく晴れないでいたことだろう。海よありがとう。