次亜塩素酸(除菌液)を強アルカリから弱酸性にしたい(後編)

<はじめに>ここで書かせて頂いたすべての内容を推奨している物ではなく、あくまでも目黒区の公開している漂白剤からの次亜塩素酸ナトリウム液の作り方」「経済産業省・厚生労働省の推奨する次亜塩素残ナトリウム液の作り方」の説明に対して、「phを弱酸性にしてみてはどうでしょう?」と言うひとつの提案に過ぎません。ですのでこちらで掲載した方法で作られるのも使われるのも、個々の責任の範囲で行ってください。

※ ヨットのHPなのに何でこんな事してるんだ?とか、このページに至るまでの経緯、またこのページで作る前の「準備品説明」等は前2ページの中で掲載させて頂いております。2つ前のページ 1つ前のページ

まずは「希釈」についてです。

今回は、次亜塩素酸ナトリウムに炭酸水を添加して次亜塩素酸と炭酸水素ナトリウムにする中和方法の記事になります。(※炭酸水素ナトリウム=ほとんどの入浴剤に入っています)ですが作り出す前に、まず「希釈」について念のための覚書です。「作り方だけ簡単に書きたい」のは山々なのですが、漂白剤はかなり強い薬品です…立ち向かう前に相手を知らないとやられてしまいます><!
そんな訳で、ヨットの時と同じように慎重に…ビビリのオプ(ヨットHPでのハンドルネーム)で進めてまいります。

まず塩素濃度の単位に使うppmですが、今回使う衣料用漂白剤の原液は工場出荷時(製造直後)で60.000ppmです。でも1年経過で約1%落ちるので、おおよそ54.000ppm程度にまで下がるそうです。ですので、古い漂白剤と新品の漂白剤で次亜塩素酸濃度も違と言う点のみご了承ください。でも問題は次亜塩素酸濃度と言うよりもむしろ「強アルカリ性」の部分ですので、この誤差には触れません。

A)「原液は約60.000ppm」
B)「作りたい除菌液の濃度(ppm)を決める」

これが最初に必要になる訳です。でも、全てバラバラだと計算が複雑になって間違いも起きますよね…味噌汁が濃い薄いの話とはちょっと違ってきますので、整理しておきたいと思います。

<一応、計算式です>
原液濃度(A)÷ 作りたい濃度(B)

ひとまず、約600ppm除菌液を作るためには、60.000pp(A) 割る事の 600ppm(B)=100です。100倍に薄めれば約600ppmになると言う事です。

例:原液を計量するのに使う「小さじ1杯は5cc」ですので、そこを基準にしてみますね。

5ccの原液を100倍に薄めるわけですから495ccの水と混ぜ全容量500ccにすれば600ppmになります。
目黒区のページでは単純に「500ccの水+5mlの塩素系漂白剤」とありますが、厳密にいうと500ccの水ではなくて495ccの水になります。でも…別に実験室で水溶液を分析する訳ではありませんから余り気にする所ではないですね(笑)。

ここまでが、希釈(ppm)の話になります。でも!このままでは「目黒区のHP」「経済産業省・厚生労働省」の案内と同じで「強アルカリ性」のままです。タンパク質を溶かしますから一般的に考えても肌に良くありません。

ここからが「中和」になります。

ここからは、中和(ph)の話になります。「強アルカリ性」を「弱酸性(ph6.5あたり)」にしたいと思います。でも「強アルカリ性を弱酸性にしたら効力が下がるのでは?」と思いませんか?私も最初そう思いました。色々調べました所、次亜塩素酸が最も除菌力を発揮するphは5~6.5なのだそうです。
ちなみに漂白剤はph13だそうです!…試しに農業用土壌PH計測機を突っ込んだらメーター振り切れました(汗)。勿論ph試験紙でも調べています。

参考文献 厚生労働省より
オプ自作図ですので大雑把なグラフですが雰囲気は伝わるかと思います。文献によりますと〝次亜塩素酸はアルカリ性に傾くと、次亜塩素酸(HCIO)の含有量が減り、代わりに次亜塩素酸イオンの比率が多くなります。 殺菌効果としては、次亜塩素酸の比率が高い方が効果があるため、微酸性の次亜塩素酸が最適な状態と言えます。〟と言う事だそうです。

〝NaClO(次亜塩素酸ナトリウム) + H2CO3(炭酸) → HClO(次亜塩素酸) + NaHCO3(炭酸水素ナトリウム)〟と言う中和方法を実際に行ってみます。ここでちょっと不思議に感じましたのは、炭酸水の分量が多くてもあまり関係がないと言う点です(ちなみに炭酸水は約ph4.6だそうです)。

NaClOに炭酸が反応してNaHCO3になる訳ですが、炭酸水を沢山いれてもphとしては変化が見られませんでした。但し!炭酸水が少なすぎると反応を起こせない事も実際に実験しました。ですので「安全の為に、5ccの漂白剤に対して、炭酸水250ccは入れて頂く事を前提」とします。

塩素濃度600ppmでph6.5の次亜塩素酸除菌液を500cc作ってみる!(簡単レシピ)

材料のセレクトは前ページに記載してあります

1)空のペットボトル(最低1リットル以上のサイズ)に小さじ一杯(5ml)の衣類用漂白剤を入れます。
2)そこに炭酸水を250cc入れます。
   ※ 500cc全部入れても問題はありませんが、安定した中和のため250ccは入れてください。
3)さらにそこに250ccの水(飲料水)を入れます(炭酸水の量が多ければ水はその分減らします)。
     ※ 徐々に炭酸が抜けて行きますがそれでOKです。
4)キャップを閉めて、冷暗所(冷蔵庫等)に保管します。※次亜塩素酸は紫外線と高温にとても弱いので、ペットボトルをアルミホイルで巻いて置くと良いみたいですよ!)

これで約600ppmph約6.5の次亜塩素酸除菌液が500cc出来ました。

汚物の落ちた床などの拭き取りや、ドアノブ・手すり等の除菌にはこの濃度でも良いですが、身体に付く可能性が大きい用途には、更に水で希釈してください。
・約600ppmで500ccの次亜塩素酸除菌液に500ccの水を足して1Lにすれば約300ppmの次亜塩素酸除菌液に。
・更に約300ppmで1Lになった次亜塩素酸除菌液に、もう1Lの水を足して2Lにすれば約150ppmの次亜塩素酸除菌液になります。※この塩素濃度ppmは単純に割り算でOKですね。いずれの場合もphは約6で安定しています。

中和した次亜塩素酸は、どんどんと塩素濃度が下がってしまいます。ですので一度にたくさん作らずに簡単に600pp・500cc作られた方が良いと思います。600ppmの物を倍の300ppmに希釈したら1リットルにもなりますが、1-2週間過ぎたら新たに作られた方が良いと思います。参考までに…600ppmの物を冷蔵庫保管(時々開けて使っている状態)で、1週間後に塩素濃度試験紙で計測しました所、400と600の極めて600寄りの反応色でした。概ね575ppm程度?かと思います。日に当ててしまうと一気に分解されてしまうそうですので、保管場所も工夫されてください。※誤飲等もないように!!

検証

念のため!が基本のビビリヨット乗りの性…最初の文章の繰り返しになりますがお許しください→。ここで書かせて頂いたすべての内容は「推奨」をしているのではなく、あくまでも目黒区の公開している漂白剤からの次亜塩素酸ナトリウム液の作り方」「経済産業省・厚生労働省の推奨する次亜塩素残ナトリウム液の作り方」の説明に対して、「phを弱酸性にしてみたらどうでしょう?」と言うひとつの提案に過ぎません。こちらで掲載した方法で作られるのも使われるのも、個々の責任の範囲で行ってください。

今回、私自身の中で一番の目的だった肌に対する問題に関しては「自分でも試しておきたい…」と思いまして、強アルカリ性の次亜塩素酸ナトリウムと、今回中和した弱酸性の次亜塩素酸除菌液を自分の腕に張り付けてテストをしました。その結果です。※実験では差が解りやすいように、いずれも約30.000ppm(作り方で記載した50倍!!)の濃度の水溶液です。この濃度を素手で扱うのは絶対ダメです。(せめてタンパク質の代用品で試せばよかったのですが…)

私の肌は厚いので平気かな?と思っていましたが、強アルカリ性はやはり肌を溶かしますね…実験のために張り付けて10分程度でヒリヒリとして来ました(汗)およそ15時間後…荒れました。「弱酸性に中和した物」の方はご覧の通り変化は感じませんでした(私の肌の色のせいで良く見えませんが…)。
良い子、あるいは良い大人の皆さんは絶対に真似しないでください!塩素・漂白剤を素手で扱うのは危ないです。良識ある方は普通やりませんね…。

あと、除菌に対して神経質になりすぎてしまう事は返って良くないと私は思います。その事ばかり考えすぎてしまったら疲れてしまいますよね(汗)。新型コロナウイルスに関しては、その専門家の先生方が懸命に取り組んでくれていますし、今自分が出来る事を淡々と行いながら、多少の不自由さがあっても穏やかな気持ちで過ごして行きたいですね(^^!

私が仕事でお取引させて頂いている宮崎県の「よこやまクリニック」院長先生が、主に代替医療(ホリスティック医療)を用いたメンタル面への働きかけとして「コロナ対策!おうちでできるストレス解消&養生法」と言うコラムを綴っておられます。「ストレスたまっちゃったな~」と言うような時に読まれて見ると良いかも知れません。よろしければご参考までに。

長らく次亜塩素酸ネタにお付き合いいただきました!以上でこの作戦は終わります。ありがとうございました。
早くこんな付け焼刃的な除菌なんて不要になりますように。収束を願っています。