2016年5月3日黒部→氷見 荒天セイリング

オプさんとBossaさんが見送りに来てくれました。海象が悪いから気をつけるように。
どうだろうか中止の方がいいのでは、と助言をしていただきました。
ネットの予報では5/3は午後から天気が悪くなるので、初めから機走を使ってスピードを上げて、少しでも早く氷見に近づければ行けると思った。
あと一つは氷見の居酒屋でおいしいもので一杯やるのを皆がすごく楽しみにしておられるのを感じていたので何とかして氷見までは行きたい気が強かった。

出航7:50
風1m 波0.5m 巻雲と巻層雲が少し有る、青空が多い。機走、メインセイルは中央、針路275度に取る。

8:30
魚津沖 波長の短いうねりが来る、波の上から谷へ、バサーンと落ちる。

8:40
北3m風が来たのでジブを出す。 速度は5Kt前後。春霞を通して険しい北アルプスがやわらかく見える。

9:05
波は南南西で三角にとんがり始める、波しぶきが船首を濡らす。

9:40
前方に見える波頭が大きく崩れている、波頭の白い崩れ巾が大きく長い。風向が定まらない。高層雲が大きく空をおおってきた、青空はもう無い。

9:50
思惑よりも波風が強くなるのが早い。これからの事を思いGPSで現在地を見る。行程の40%辺りである。新湊辺りから能登半島のかけては、平水域の海面なので、進むに従い他よりは弱いはずだと自分に言いきかせて氷見へ向かう。

11:30
波2m 南南西15m 「スピードを早く」に重きを置いてきたのだが、こうもヒールが大きいと効率が悪いので縮帆をする。リーフすべく風に向かわせるが船外機は大波でペラが海面上に出て推力が得られない。

ほかに手立てが無いので右舷にセールを出したまま1ポイントリーフの位置までメインシートを印の有る所まで送り出し、リーフのタックをグースネックのフックにかける。
そして次のアウトホールをブームに引き寄せるのだが、これがうまく出来ない。船を風に向かわせれば出来るのだが、この時船は突然大きく右舷に傾いた。行き足の無くなった船は風に真横を向き風が推力ではな100%倒す力に働いたからだろう。それにこの波のタイミングカが合えば横転も有かなと思う。
結局アウトホールは正しくブームに結べなかったが、ブームとの位置関係を按分してなんとか揚力の出る翼型にしてみた。
舵を合わせると進み始めた。 氷見へ行くにはクローズドホールドです。しかし揚力の出ない翼型のセールと船外機では何が何でも氷見港の風上へ着きたい。
この天気で風下へ出ようものなら二度と氷見へは着けないかもしれません。
ぼんやり霞む二上山のすぐ右辺りを針路に取る。これは上り過ぎのクローズになるのでスピードがでない。でもこの強風(瞬間20m、もっとかも)ではヒールが小さいのが安らぎです。
微妙な舵取りなんです。針路とヒールとセイルがシバーして破れないようにすることが。
10時方向を新港から出てきた大きなコンテナ船が行く。こちらは右往左往の大騒ぎをしているんですが、こんな荒天は荒天の中に入らないような風景で過ぎていきました。

上記は大騒ぎの一部です。他の大騒ぎも書くと長いので箇条書きにしてみました。
ジブファーラーの出し入れロープが巻取りドラムから出てドラムの上に巻きついた。
ジブタックに付いていたチェーンが悪さをしたようです。
レイジージャックのアイがドサクサで取れた。それが海に落ちないで拾えた。
2ポイントリーフにもトライ。→ダメ。風上に向いている時間が作れない。
セイル全部下ろして機走してみた。ペラが沈んだらアクセル上げる。ペラが浮いたらアクセルをしぼる。→ほとんど進みません。
バケツをかぶるようなしぶきが有った。カッパを取りに下がった時、後ろへ飛んだ。おかげで右後ろわき腹が打ち身で痛い。
何かで何かをつかみそこねて、右薬指捻挫くだらないことを長々と書いてすみません。

波風は突然大きく強くなる。波頭は風で大型霧吹きのようになり海面を覆う波の斜面はどれも白い泡の筋が入っている。そして、大波のてっぺんに上がった時下が見える。
今から下へ落ちるのかと身構えるが、何のことは無いゆるやかに静かに滑り込む。海洋本に出てくるのは、これの何十倍もの大きさなんだろうと想像してみる。
少しづつ二上山が近くなる、氷見港を探すがわからない。白い斜長橋の塔が目印なんですが、遠目にもわかるはずなのですが。双眼鏡でも探す。突然丸くふっくらした島が分かった。氷見港の外にある島や。
となるとクレーン工事で腕を伸ばしていると思って見ていたのが橋の塔なのでした。塔は白色ではなかった、セメント色のグレー色でした。二艇はうまいこと氷見港の風上に行ける針路にいます。
更に北よりにコースを落とします。セールの風も正しく流せるコースです。氷見港に向けたとたん船速がが上がりました。みるみる近づきます。そして二上山の風下域へ入る。
あー、助かりました。急に波が低くなってきました、船外機が完全に使えます。
安全にセイルが下ろせます。
唐島の風上で入港準備をする。船外機で港口へ向かう。 氷見港はadajio号で来た事が有る。係留場所はその時と同じで良いだろう。 そして着岸。すぐ後に角マ丸も着岸。 3:50でした。
生きて陸に上がれて良かったです。
レプトン(ヨット)はよく出来ているものです。転覆せず大波にもうまく浮かび大したものです。操船が悪くても荒天でも無事に運んでくれました。おまけに風で走ります。